第1章 紫式部と『源氏物語』 紫式部とは何者か。世界的にその名を知られていながら、その生没年すら明確ではない。議論百出の諸説を整理して、わかるかぎりの紫式部像を提示する。さらに、『源氏物語』のあらすじはもちろん、作品の特徴や見どころ、どのように読まれていったのか、その後の影響など、『源氏物語』をめぐるエッセンスを解説。 ・『源氏物語』あらすじ(すごろく風な構成で)/『源氏物語』と王朝文学/『源氏物語』に見る紫式部と一条朝/『源氏物語』に見る貴族の信仰と呪術(神仏習合、末法思想=浄土教、陰陽道)など 第2章 平安遷都と政治体制 遷都を経て、平安初期からの政治体制、摂関政治にいたるまでの流れ。「藤原北家の権力闘争史」が章のテーマで、加えて、時代全体の政治経済システムも概略。 ・桓武親政と平安遷都ー藤原北家の失脚と復活/平安初期の政治改革ー地方と貴族社会の変容/律令官僚制の再編/「格式」の導入/令外官の接地/検非違使 第3章 藤原道長と摂関政治 北家の中で、小野宮流(道隆)から九条流(兼家→道長)に権力が移行する流れを叙述。 ・権力闘争に勝利した藤原北家/院政/摂関体制の成長期ー藤原忠平から道長へ/摂関体制全盛期ー藤原道長・頼通父子/摂関体制の衰亡ー白河・鳥羽院政へ 第4章 平安貴族の暮らし 『源氏物語』はじめ王朝文学作品などを例にあげながら解説する。有職故実もわかりやすく解説。天皇と貴族の生活史が中心。 ・平安京と内裏・大内裏(環境や設計面から)/平安貴族(男女)の一日24時間(衣食住)/学問と教育/服装/宮中の年中行事と具注暦/さまざまな芸能者(貴族との接点として) コラム ・聖地熊野詣で/元は渡来系の居住地/幻の法成寺/殿上人は何を食べていた?/人糞処理のシステム/ゴキブリが登場する古文書/公家たちの結婚/天皇の装束変遷/芸能者の群れ――など。
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