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講談社X文庫ということで、今一番手軽に安房作品に触れることができる本ではないかと思いました。
12話の話が収録されています。私の好きな「だれにも見えないベランダ」も入っていました。
「あるジャム屋の話」では、鹿が出てきて「天の鹿」という作品との関連性を思いました。鹿の娘にジャム屋を手伝ってもらい楽しい時間を過ごすジャム屋。
鹿のままでは結婚はできないと言ってしまうのに、「鹿のまんまで、よかったんだよ」と後で後悔する姿が印象的でした。
「黄色いスカーフ」では、黄色のスカーフ一つでうきうきとした気分になるおばあさんがかわいらしく感じました。
「日暮れ海の物語」では、「人魚姫」の影響を感じました。
文庫ということでどちらかというと大人向けですが、珠玉の作品が集まっていますので、安房作品の入門編としても向く一冊だと思います。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子7歳)
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