連作短編集として最後の作品『花豆の煮えるまで』を中心に、山の季節の移り変わりを描いた作品を収録
安房直子コレクション7です。この作品集には、季節の移り変わりに関係する作品が収録されています。
「緑のステップ」は私の好きな作品なのですが、桜の花から新緑の季節に移り変わる一瞬の時間をとてもうまくとらえていると思います。
「初雪のふる日」は、秋から冬になる一瞬の時間をとらえていますし、確かに存在するけれど、移ろいやすくて見逃してしまいがちな一瞬の変化にこれほどまでに敏感に注目して美しく描き出している作家はいないと思います。
語りの美しさや自然描写の美しさはこの本だけでなく、すべての作品から感じられます。
「花豆の煮えるまで」の中のリボンを木に結わえるというイメージの美しさも安房さんならではだと思います。
エッセイや年譜も収録されており、安房さんの知られざる人となりを知ることができました。
年譜に収録されている作品には、今なお単行本化されていない作品もありますし、絶版のものもあります。
この作品集が元になり、安房さんのすべての作品が読者である私たちに読むことができる日が来ることを願わずにはいられません。
全巻揃えて、いつもそばに置いておきたくなる愛蔵版だと思います。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子7歳)
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