安房直子さんと味戸ケイコさんのコンビです。
個人的には、この二人のコンビはとても相性がよいと思って読んでいます。
美しくせつなくはなかい、そして時に怖いという共通する世界観がお二人に共通していること、そして同世代で同時期に北海道で過ごされたと
いう原風景となる景色が共通していることも大きいのではないかと思うからです。
三作が収録されていて、何か共通項を探すとしたら、ラブストーリーということでしょうか。
それも異形のものたちとのラブストーリー。それゆえに切なさも怖さもあります。
「あるジャム屋のお話」がこの中で私は好きです。
主人公が不器用であることも親近感がわきますし、鹿の娘の健気でかわいらしい愛情にも心打たれるものがあります。
あとがきとして、安房さん自身の作品に寄せる思いが書かれていて「いつもストーリーテラーでありたい」という思いにはなるほどと思いました。
執筆時間は、午前八時半から午後三時というのも、主婦の生活も大切にしておられた安房さんらしいと思いました。
読めば読むほどに、安房さんの世界にどんどんとのめり込んでいってしまうのを感じます。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子7歳)
|