山村暮鳥の有名な詩は「いちめんのなのはな」です。 「ポケット詩集」の3巻目に入っています。 「いちめんのなのはな」という詩句が24もくり返されることで、 まるで菜の花畑に佇んでいるような気持ちになります。
「おうい雲よ……」でも、このくり返しが多用され、五、六行の詩が「おなじく」というコトバで接続されて、 一人連詩を読んでいるような、回り灯籠の絵を見ているような気分になります。きっと山村暮鳥という詩人は 深い息を吐きながら、短い詩をぽつ、ぽつ、ぽつと口から吐きつづけたのでしょう。
「こども」という詩では
山には躑躅が さいてゐるから おつこちるなら そこだらうと 子どもがいつてる かみなり かみなり 躑躅がいいぢやないか
と始まり、「おなじく」を何回もくり返し10回目に
こどもが なき、なき かへつてきたよ どうしたのかときいたら 風めに ころばされたんだつて おう、よしよし こんどとうちやんがとつつかまへて ひどい目にあはせてやるから
と結んでいます。
ここには子どもの感性だけがあります。 同時代に生きた詩人、北原白秋や三木露風の童心に影響を受けたのかもしれません。
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