谷川さんは日本の詩人というより世界の詩人です。そんな詩人は日本で一人だけでしょう。 詩集だけで80冊を超えます。スヌーピーやマザーグースも谷川訳で日本人の宝物になりました。 絵本の翻訳もレオニの「スイミー」や「フレデリック」など名訳ばかり。 谷川さんのアンソロジーは、長年の夢でした。80冊2千編の詩を何回も読んで5年もかかりました。 アンソロジーのテーマ(コンセプト)は「十代のノートから」にありました。 十代で悟った「全ての生は幸福である」がそれです。 凡そいのちというものは、幸せに生まれ、幸せに生き、そして幸せに還る、ということでしょうか。 谷川さんはこのアンソロジーを喜んでくださり、 「これから僕は自己紹介のときは『はるかな国からやってきた谷川俊太郎です』といいます。」とおっしゃいました。 名詩「みみをすます」は本来は詩集一冊分の長詩ですが、編者は一計を案じてこのアンソロジーに収めてしまいました。 どんなふうに収まっているかは、どうぞ手にとってご覧ください。 巨大な谷川俊太郎山脈が、手の平サイズの詩文庫一冊に、ゆうゆうと収まっている姿。 わくわくするほど、決まっています。編者、快心の一冊です。
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