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ユリ・シュルヴィッツで検索をかけていたら見つけた本です。シンガーが文章を書いています。
児童書なのですが、難解な印象を持ちました。
文章が難解というよりは、そこに込められたメッセージ性の強さというのか。
ヘルムの町の成立から始まるお話です。
「“危機”というのが、危険な状態の意味だとわかるほど教育のある人間はヘルムにはほとんどありません」という言葉がとても印象に残ります。
貧しいヘルムの町をどうするのか頭を絞った結果、戦争へと発展してしまいます。シンガーは、ポーランド生まれのユダヤ系アメリカ人です。
シュルヴィッツも戦争でポーランドを離れていますので、平和に対する思いは二人に共通したものだったと思われます。
教育がある国民がいても戦争はなくならないことを思うと、この作品にこめられた暗喩というのか、皮肉を感じました。
絵がシュルヴィッツなのですが、この本に関してはシュルヴィッツのいつもの感じではなくむしろセンダックに近いものを感じました。
強いお話ではありますが、引き付けるものもあり、読みこんでいくとその時々で感じ方が変わってきそうです。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子9歳)
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