時計は3時、パパが迎えに来る時間なのに、今日はまだ来ない。どうしたのかなあ? もしかしたら、たいへんなことがあって、ぼくと弟はふたりだけになっちゃったのかも…。 ぼくは弟に言った。「だいじょうぶ、おにいちゃんがいるからね」
自分で作った時計のせいで、時間をかんちがいしてしまったお兄ちゃんが、けなげに弟の面倒をみますが…? ユーモラスであたたかい絵本。
2009年のスウェーデンの作品。
作のウルフ・ニルソンの作品は他に読んだことがありませんが、絵のエヴァ・エリクソンの作品は何冊か読んで感銘を覚えた記憶があります。
有名なのは、「おじいちゃんがおばけになったわけ」ですが、「パパはジョニーっていうんだ」はパパの必読書の1つです。
今回の作品も、ストーリーが実に素晴らしい。
スウェーデンの作品の水準の高さに注目です。
物語は、主人公のぼくが保育園で時計を作ったシーンから始まります。
時計は、3時を指していて、パパが迎えに来る時間ですが、パパが来ません。
だって、動かない時計ですから、3時と言うのは正しい時間でないからです。
そこで、ぼくは、1人で帰ります。
でも、早い時間だから家には誰もいないのです。
ぼくは、パパとママがトラックに轢かれたからだと勝手に思い込み、泣き出し、1人ぼっちになると思った瞬間に、弟のことを思いだすのです。
そう、保育園に弟を置いて来たってことを。
それからの展開が最高です。
パパとママがいない今、弟を守っていかないとならないと、ぼくの悪戦苦闘が始まるのですが、この優しい気持ちは何度読んでも心の琴線に触れるもの。
我家の兄弟も、年が離れていますが、同じような関係なので、なおさら共感できました。
結構2人のやり取りが長いのですが、そんなことを感じさせない位引き込まれてしまうことでしょう。
パパとママも当然帰ってくるのですが、ぼくと弟を抱きしめたというのも、納得のエンディングです。
対象は、大人もありですが、やはり、弟のいる兄に読んでやりたいところ。
きっと、何かを感じてくれること間違いのない作品だと思います。
スウェーデンの作品を、多読してみたくなりました。 (ジュンイチさん 40代・パパ 男の子12歳、男の子6歳)
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