第二次世界大戦末期のドイツ。17歳の少女レギーネはポーランドの青年ヤンと恋に落ちた。だがナチスが「下等人種」とするポーランド人とつきあうことは大罪だった。逮捕され、監獄へ送られたレギーネは辛くも脱出し、さまざまな体験を、ヤンから学んだ広い世界のことを語り出す。ドイツを代表する児童文学作家が描く感動の一冊。
第二次世界大戦中のドイツと言ったら「ユダヤ人迫害の話」なのでは?と、たいていの人が思うと思います。
私もこの本を手に取った時、「ヤン」という人物はユダヤ人なのかしら?と思っていました。
ところがこの作品の中に『ユダヤ人』は一人も登場しませんでした。
主人公のレギーナは《生粋のドイツ人》で、ヒトラーの政策を教え込まれ、信じきっているひとりでした。
けれども、ポーランド人の捕虜の青年を好きになってしまったことで、すべてが変わってしまいます。
ちなみに、この本はドイツの代表的な児童文学作家の作品だそうです。
あまり日本の児童文学作品ではありえませんが、「戦時中の恋愛」や「性」の問題を取り扱っています。
「これから死ぬかもしれない(その確率がとても高い)前線へ行くのだから……、(その純潔をぼくにくれても)いいじゃないか」
そういう考え方がまかり通ってることに、ひとりの女性として憤りを感じます。
安全な場所にいたにもかかわらず、自らそれを手放して別の世界を見る目を持ってしまい、迫害される側に回った少女の心の動きがよく描かれていました。
歴史では必ず第二次世界大戦を習います。
中高生の子どもたちに、自分と同じくらいの年頃の女の子が、その当時どんなふうに感じていたのか、この本を手に取って一緒に考えてみてくれるといいなと、思いました。
(てんぐざるさん 40代・ママ 女の子16歳、女の子11歳)
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