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次世代へと遺され、あるいは受け継がれていく、「語ること」の豊かさと不思議さ。そして人生の滋養となる子ども時代の体験を見つめる、ふるさと回帰の旅。『とんぼの目玉』に続く第2エッセイ集。
長谷川摂子さんの本を勉強した時に、長谷川さんの子ども時代のことを描いたエッセイ集が出ていることを知りました。
昨年、長谷川さんはお亡くなりになりましたので、これが最後の単行本ということでしょうか。
その勉強会で『人形の旅立ち』に収録されている作品がデビュー作であることを知りました。
『家郷のガラス絵』を読み、『人形の旅立ち』に出てくる情景、出雲で過ごされた子ども時代が長谷川さんの作品のペースになっていることが理解できるような気がしました。
「麗子叔母の一生」では叔母様の生き方を通して老いを見つめる姿、いじめ体験の克服、笠智衆の自伝を読んで腑に落ちなかった点を小説風に描く試みなどが、心に残りました。
長谷川さんというと絵本作家というイメージで私は始まったのですが、今昔物語集の現代語訳などもされていたようですし、美術史の共同翻訳などもされ、また私塾もご主人とされていて、多方面にアンテナを張り巡らし、好奇心が旺盛な方だったことがわかります。
もう一度長谷川さんの作品・仕事の足跡をたどってみたくなりました。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子9歳)
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