漢字の宿題はちゃんとやるつもりですが。 こんなに楽しい「かんじのぼうけん」で息抜きしちゃいませんか。 部首ごとに漢字をまとめたこちらのシリーズ、案内してくれるのは五味太郎さん。 「にんべん」「さんずい」「きへん」と、たくさんの漢字と友達になりました。 さて今度の冒険では、どんな出会いが待っているでしょう・・・。
今回は「てへん」。 「手の動作を表す」のだそうです、かなりシンプルですね。 「手」とへだてる意味の「巨」を合わせれば、ふさぐ・こばむ意味の「拒」。 「手」とかたどる意味の「苗」を合わせて、物の形をうつしえがく「描」。 「挑」は、はね上げて動かす「兆」の意味から、かかげる・いどむことを表します。 人の動きにまつわる漢字が、ものごとの状態を表す意味へと進化したりもしていますよ。
漢字の成り立ちと意味、この2つは「かんじのぼうけん」に欠かせない要素になりました。 さらに漢字のおもしろさを引き立ててくれるのが、マンガのような五味さんのイラスト。 一生懸命作ってるのにどうしても「拙」くなってしまう犬小屋、隣で犬がボソッと「へたなんだよ・・・」。 おれたち、なんのために「掘」ってるんだ?汗水たらす工事現場の2人、それを言っちゃぁおしまいですよ。 登場人物たちの冷ややかな視線に厳しい突っ込み、毒はきいているのにやわらかい、やっぱりクセになるおもしろさ。 もうおなじみ、五味さんの「てへんコラム」も読み逃さないでください。 遠い昔に猿の一派が進化したといわれる人間、森の中で暮ら続けていたら「てへん」のつく字は5個ぐらいだったかも? どちらも撫でるという意味の「按」と「撫」、微妙にニュアンスが違うなんて漢字はそれなりに偉いね。
70字もの漢字が登場するのにとても読みやすいのは、画数順に並んでいるから。 これは漢和辞典を引く練習にもつながるというから、本当にありがたい。 意味や成り立ち以外に、一字ずつ読み方・熟語も載っていて、 押えるところは、ちゃんと押えてくれています。
そろそろ楽しかった冒険も終わり、宿題にもどらなくちゃ。 すぐには読めない字でも「へん」を見れば予想がつく。 それが漢字のありがたくて楽しいところ。 あれあれ、気がついたら「かんじのぼうけん」に戻ってる。 だけどやっぱり・・・やめられない!
(竹原雅子 絵本ナビ編集部)
この本は、漢字を「部首」でまとめた本です。Cは「てへん」。「てへん」には「手」に関係する漢字が集まっています。本文掲載の五味さんのコラムによると、「木に登ったり、枝にぶら下がって過ごしていたお猿さんの一派が、森から脱出して草原に移り住んで、やがて今みたいな人間になって、登ったりぶらさがったりすることが少なくなり、手がヒマになったので、捕ったり採ったり投げたり捻ったり摘んだり擦ったり・・・いろいろなことができるようになったのではないか」という説があるそうです。そして「手」に関係する漢字がたくさんできたのだと。おもしろいですね。そんな風に漢字を眺めてみると、また違った発見がありそうです。 ぱらぱらめくって、「てへん」の漢字を楽しんでください。きっと「てへん」マニアになれますよ。
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