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イギリスの天文学者が発見した不思議なすい星が衝突? 世界中が騒ぐ中、カニの形をした怪物が美術品を盗むため日本に上陸!!
※ポプラ文庫クラシック版(2009年、巻末解説:万城目学、挿絵:柳瀬茂)を読了。
少年探偵シリーズ、最後から2番目の作品。いよいよ怪人二十面相も本気を出して変装や演出を面白くしてくれています!
毎度、話を面白くするサービス満点の、二十面相ですが、今回はカニ尽くし。宇宙人が飛来して、美術品を盗もうとした!と世界中に新聞にデカデカと報道され(真に受けた新聞社も偉い)、多くの人を震え上がらせた恐怖のカニ型彗星人。出現する時も大量のカニ(本物)がはい出してきたり、突然消えたりと今回も非常に手が込んでいて、予算は大丈夫か?と心配に。
カニ宇宙人の仮装をしたり、少年探偵団の全員にもれなく催眠術をかけたりと、仕込みも大変だ!もうこうなると、盗賊というよりも、エンターテイナーというべき二十面相。更に悪魔・メフィストまで登場させて、まるでバイキンマンのような恰好までして小林少年たちを翻弄する。美術品など、どうでもよくなったのかもしれない。
これは、場面を一つ一つ丁寧に空想してみると、かなり笑える。昭和の手作り感あふれるコント(ドリフのような)のイメージでもって、全部読み切った。
巻末の解説でも、コントっぽさに言及していた。怖いミステリーというよりも、おもしろい作品。だんだんトリックも大味になってきた感が…乱歩先生はどういう気持ちでお書きになったのかしら??
昭和レトロの遊び心いっぱいの、ワンダーワールドを体験したい大人の人に、是非ともお勧めしたい。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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