美しい珊瑚。土佐の海から上がってくるものなのに、
土佐の浜の娘たちはに持つことが許されない、遠いもの。
その理不尽さを飲み込んで、いっそう珊瑚は美しく輝く。
我が子にも読み聞かせ、小学校の読み聞かせでも読んでいます。
テレビドラマで坂本龍馬が取り上げられた頃にも、
子どもたちが「土佐」という土地に興味を持ったらしいので
読んでみました。
小学生も、高学年になってくると「昔は身分にも差があって」ということは何となく知っている。
それでも、ただ、漠然と、
「お殿様は偉い人で、それ以外の普通の人がたくさんいた」
くらいにしか思っていない。
実際のところは、そんなに生ぬるいものではなく、
武士が偉いといっても、その中にも将軍から大名から上士、下士の違いがあり、
農民や漁民たちでさえ、それぞれの分を超えることは許されなかった時代。
そんな時代が、ほんの少し前まであったことを知ってほしいと思い、
小学生たちに読み続けています。
確かに、子どもたちにはすぐには伝わりにくい内容です。
それでも、年齢が上がっていくにつれ、少しずつ理解してくれます。
それに、お話も、絵も、ただ残酷で悲しいだけではなく、
やっぱり美しいのです。