アナイス・ヴォージュラードの作品は、寓話として面白さについては文句はないのですが、主人公の表情が妙に冷めていて、話の内容との落差を感じさせられます。
カバーにある木の枝に座るファビアン王子の絵は、こちらを睨んでいてあまり明るい絵本のイメージではありません。
ともあれ、話の内容は味わい深い寓話。
赤い国、青い国、黄色い国とパターン化されていて、見た目にわかりやすいと思います。
羊にまたがって闘いに出たファビアン王子は、相手のジュール王子の馬を驚かせて落馬死させてしまいます。
奇策と見るのか、卑怯と見るのか、赤の国の兵は憤り、青の国の王は逃げ帰ったファビアンを追放してしまいます。
そしてファビアン王子は戦争をやめさせるために、考え込むのです。
戦争はどうして続くのだろう。
どうしたら戦争は終結するのだろう。
ファビアンの策は素晴らしかったのですが、世界はそう単純ではありません。
しかし、単純化した上で子どもたちに大きなヒントを与えていると思います。