フランツ・カフカの晩年のエピソードを基にしている絵本です。
絵本を読みながらカフカの評伝を探して心熱くなってしまいました。
結核に苦しんだ晩年に人を思いやるエピソードが数多く残されています。
そんな中でこの話は、カフカがベルリンにいた時代のこと、公園で人形を失くして泣いている少女泣いている少女に「人形は旅行に出かけただけなんだよ」となぐさめ、ベルリンを去るまで毎日少女に人形からの手紙を書き続けたというエピソードに基づいています。
カフカはベルリンを去る際に少女に人形を渡し、「旅行している間に少し様変わりした人形だ」と伝えたそうです。
これが絵本の中ではリトルスターなのでしょうか。
カフカの優しさとウィットに富んだ行動にうっとりです。
絵本の中で少女の人形ロッティは世界各国を旅行してまわります。
カフカの手紙とは違うかもしれませんが、旅行先の風景ロッティが出会ったことなどが生き生きと描かれています。
最初読んだときには甘ったるさに少しひいてしまったのですが、カフカのことを調べでから読み直すととても深み味わいのある作品です。
絵本も印象に残りましたが、改めてフランツ・カフカのファンになりました。