マリー・ホール・エッツは、1895年アメリカ ウィスコンシン州生まれ。
1984年没。
1944年の作品で日本では1963年に訳された「もりのなか」で、つとに知られています。
「もりのなか」は、モノクロームの世界でしたが、他の作品も一色を基調としたものが多く、今回の作品は、クリーム色が基調となっています。
物語は、主人公の女の子が、原っぱに遊びに行くシーンから始まります。
ばったがいたので遊ぼうと思ったのに、逃げてしまいます。
次は、かえる、やはり逃げてしまいます。
そんなやり取りの繰り返しが続きます。
女の子は、仕方ないので池の辺の岩に腰掛けてじっとしていると、さっき逃げていった動物達が寄って来るのです。
その時、女の子は、目で動物達を追い駆けます。
決して動かず、目だけを動かしているのでなかなか気付かないかも知れませんが、その微妙な動きが秀逸。
最後に、動物達と女の子が一緒の空間にいるのを見ると、何とも言えない穏やかな気持ちになることでしょう。
追いかけると逃げるけれど、じっとしてると寄って来るという野生動物達の習性は、まさに真実。
マリー・ホール・エッツの幼少期に動物達と親しんだ実体験が、この作品の原点なので、なおさら真実味を帯びて語りかけていきます。
優しい絵に加え、後ろから覗いている太陽も良い味を醸し出していて、安心して読み聞かせできる古典的作品としてオススメします。