1995年のコールデコット賞オナー賞受賞作品。
1923年生まれのエリック・ローマンは、2003年に「はなうたウサギさん」でコールデコット賞を受賞しています。
肉食恐竜に見つめられらた鳥の驚きの表情が、印象的な表紙です。
物語は、1羽の鳥が、恐竜の化石を展示している博物館に入り込むシーンから始まります。
重厚な造りの博物館で、様々な種類の恐竜の化石があり、柱の上にプテラノドンのガーゴイルがあります。
鳥は、その化石の間を飛び回るのですが、だんだんと博物館が太古の景色に変化してきます。
最初に、バラサウロロフスと思われる恐竜の化石が、頭の方から骨格に肉付いてきて、次のページでは、プテラノドンが現実化して鳥と一緒に飛び回っています。
プロントサウルスと思われる恐竜と対面した鳥が驚いて羽根を広げていたり、ティラノサウルス・レックスと思われる恐竜と目が合って驚いているシーンなど、鳥が困惑する様が、実に精緻に描かれています。
鳥は、その恐竜に丸呑みされるのですが、尾の方がまだ現実化していない骨格のままだったので、そこから逃げ出すという展開です。
鳥は、後方を見つつ博物館から脱出できるのですが、安堵の気持ちが窺える飛び方をしています。
文字のない絵本ですが、重厚な色合いの絵が醸し出す雰囲気、分かり易いストーリー展開からすると文字がない方が、この絵本にはあっていると思います。
本当にタイムフライしたのか、単なる幻想だったのか、分かりかねますが、見る者を圧倒する迫力のある絵に、惹き込まれることは間違いありません。
恐竜の骨格が鎮座する博物館の絵は、何かが起こりそうだと思わせる雰囲気があって、その表現力には目を見張るものがあると思います。
恐竜ファンならずとも、是非見て欲しい作品です。