長谷川さんの作品については「個性的」と聞いていたので
ちょっと興味津々で読みました。
意外なほど心にストンと落ちました。
男の子たちがとんぼを捕まえようと奮闘しているところへ
転校生の男の子がやってきて、見なれぬ方法でいとも簡単に
とんぼをつかまえてしまいました。
そのとんぼをどうするかと言い争い、逃がしたとんぼは
目の前で死んでしまったというのです。
余計な心理描写などはなく、小学生の日常のほんの一コマを
切り取ったような作品です。
とんぼをとったら羽をちぎってみたい、
足に糸をくくりつけて飛ばしてみたいという表現がでてきます。
今の時代、残酷だ・命の大切さを説くべきだという考え方もあるでしょう。
しかしそれだけでは「命は大切なのになぜ魚を食べるの?」果ては
「じゃあ、なぜ人を殺すのはよくないの?」などの疑問には
子どもたち自身、教えられた知識だけでは対応できないのではないかと思います。
実際に「命」を扱った経験がないと想像すらできないのではないでしょうか?
とんぼの死によって彼らは何かを感じ成長していくであろうことが読み取れます。
ぜひ小学生に読んでもらいたいと思いました。
長谷川作品とても素敵でした。もっと多くのものを読んでみたいです。