守り人シリーズ5作目。
<来訪編>、<帰還編>と、上下二冊で1つの物語。
時間的には、「精霊の守り人」のチャグムが、前作「虚空の旅人」で南の国々を旅しているころの話です。
短槍使いのバルサと、呪術師タンダは、奴隷商人に売られようとしている幼い兄妹、チキサとアスラに出会います。
世界を覆してしまうほどの「力」を秘めたアスラは、多くの人達に狙われます。バルサは、その「力」の恐ろしさを感じながら、アスラを守る決意をします。
北の国一帯に及ぶ、バルサとアスラの旅。
読んでいると、その国の空気や匂いまで感じられて、本を閉じると、自分が、どれだけ守り人の世界にどっぷりと浸かっていたのか気づいて驚きます。
そして、その旅路とともに、一国の「歴史」が何を含むのか、差別や偏見、憎しみ、力を持つことの誘惑、人の命を奪うこと・・・壮大なテーマが語られ、ハッとさせられます。
少しずつ歴史を重ねる、バルサとタンダからも、目が離せません。
<来訪編><帰還編>両方を手元において、読み始めることをお勧めします。