戦争の一つの側面を描いた
とても静かな本です。
空襲にあう、原爆が投下される・・といった
惨状を描いた、ある種、刺激的な本と違い
この本の主人公小学6年生むっちゃんは
ただ洞穴の中で寝かされている・・というものなので
ショッキングなシーンはとくにないのです。
そのむっちゃんの口から語られる静かな言葉
そのむっちゃんと心を通わせていく6歳の「わたし」
戦争がなければ出会うこともなかったであろうふたりを軸に
戦争のもう一つの悲惨さが描かれます。
むっちゃんは空襲で親兄弟をなくし
おばさんに引き取られたものの
結核をわずらっていたために疎まれ
洞穴での生活を余儀なくされています。
物語の最後に
これは実話であるということと
こういう境遇の人は、当時少なくなかったという説明があり
また衝撃を受けました。
10歳の娘は静かに聞いていましたが
何かを感じてくれたでしょうか・・。