私が読む前に息子は、さらっと読み終えて、
「お母さん、このお話、最後がとてもいいんだよ。ピリカが、お母さんになるの」
そんなに楽しいお話なのかと思って読みましたが、最後は、私が思っていたのとは少し違っていました。
お母さんを知らないピリカが、お母さんを感じるのはなぜか、
そして、ピリカに限らず、すべての鮭がお母さんを知らないのはなぜか、
読み終えるとよくわかります。
一つの命が生まれ、そして消えてゆく。しかし、その命は姿かたちを変えて、永遠に繋がってゆく。
その様を、真正面から、暖かい目できちんととらえている作品です。
鮭の一生を写実的に描きながらも、一つの物語として完成されている事に驚きました。
5歳の息子には、まだ全てを理解することはできないようです。
しかし、もう少し大きくなって、また読み返した時に、新たな発見をすることでしょう。
母の愛と、懸命に生きることの素晴らしさを教えてくれる作品です。