人間は、自分たちの生活のしやすさを考えて環境開発を行う。けれども、それは自然環境のバランスを崩し、まわりまわって人間生活に害悪をもたらす結果となる。
今となっては、人間中心の開発に対する警鐘が鳴らされて久しい。一方で、現在は、それ以前の時代における人間中心の開発に対する対処が求められる時期になっている。
そのような状況の一例として、この本で描かれているイエローストーンでのオオカミの復活があるのだと思う。
人間に害をなす動物を駆逐することは、人間が考えもしない自然環境の変化をもたらす。私たちは、自然が自らいかに広範囲にわたるバランスを保ち、良い環境を生み出しているのか真摯に考える必要があるとこの本を読んで改めて感じた。
一度失われてしまった自然の均衡を回復することは、イエローストーンのように毎回うまくいくわけではないことも肝に銘じるべきだと思う。
イエローストーンの例を知ることは、自然システムの回復がうまくできたからこそ、結果として、人間の安易な行動がどれほどのものを自然環境から失わせてしまったのか知ることができた。
経済活動を含め、責任ある立場の大人にとって、考えさせられることの多い内容だった。