「人種」を「差別する」というのは、本来、同じ生き物である人間同士で行うことではないです。
生まれた場所、肌の色で人が人を差別してはいけません。
今でこそ(完全ではないにしろ)当たり前の認識になってきていることですが、(特に)1970年代くらいまでのアメリカ社会ではそうではなかったんですね。
この絵本に登場する『ローザ』という人物は実在の人で、このお話は本当に起こったことを描いた伝記絵本です。
表紙絵は、ローザの顔の上半分と、何やらささやいている様子の帽子をかぶった男の人(白人)が描かれています。
この帽子をかぶった人はバスの運転手さんで、このシーンはバスの運転手自ら、「白人に席を譲りなさい」と言っている印象的なシーンでした。
ローザの頭の周りをピカピカした金色の装飾物が覆っていますが、私が思うところ、これは清い心の人が持っているオーラの冠みたいなものをブライアン・コリアー(絵)がイメージしたのではないでしょうか?
ローザの行動を支え広げたのは、アラバマ州アフリカ系女性組織の教育者たちとキング牧師だったそうです。
黒人差別に対するこの事件で、最もすごいと思うところは、被害者である黒人の方々の戦い方にあると思います。
「非暴力」の無血の戦い!
少し前に、イギリスで黒人男性の射殺事件をきっかけに大きな暴動が起きました。
この時のニュースで若い青年がどこかのインタビューに答えて「俺はやるぜ。たとえ、今回の暴動が収まっても、何かのきっかけがあれば俺たちは何度でも同じことをやる」そう、答えていたのがとても印象的でした。
彼らには、彼らなりの不安や不満があるのだと思います。
でも、できることなら、無関係の一般の人々を苦しめくころなく、この絵本『ローザ』のように強い意志と清い心構えで、戦うべき本当の敵と「非暴力」の戦いをしてほしいなぁと、思いました。