『キツネのはじめてのふゆ』を読んで、とても心が温かくなる素敵なお話だと感じました。遠い北の国で、一人ぼっちのおなかをすかせたこぎつねを助けてくれたおじいさん。優しさに満ちたその行動から、読んでいる私たちまであたたかい気持ちになりました。
こぎつねとおじいさんが一緒に過ごす日々の描写は断片的ですが、その中に二人の交流の深まりや、互いを大切に思う気持ちが丁寧に表現されていました。おじいさんが忙しそうに働く姿を見守るこぎつねの姿は微笑ましく、また、おじいさんの行動の意味が徐々に明かされていく展開にワクワクしました。
クリスマスの特別な夜、こぎつねが迎えた忘れられない出来事。それは物語を通じて描かれる優しさや思いやりの象徴のようで、美しいイラストとともに心に深く刻まれました。リチャード・ジョーンズさんの絵は、北の国の厳しい寒さの中にも温かさを感じさせ、物語の魅力をさらに引き立てていました。
サンタクロースのおじいさんとこぎつねの物語は、クリスマスが終わった後もずっと続いてほしいと思いました。読む人の心に優しさの種をまいてくれるような、素晴らしい一冊だと思います。