何の予備知識もなく、タイトルに惹かれて読んでしまったら、
想像もしなかった胸が締め付けられるような切ない展開に号泣してしまいました。
きつねの思いやり、なまずのおばさんの辛い心情、受け取り様によってはハッピーエンドと言えるとは思いますが、不思議で切ない余韻の残るラストシーン‥‥私にとっては珠玉の名作と言える一冊です。
どうしてだろう?と、ぐいぐい興味をそそり引き込まれる前半、後半はその疑問の理由を駄菓子屋のなまず自らが語るのですが、その語り口は切ないながらもどこか微笑ましく親しみが持てます。
不思議な名前が付いている駄菓子についての説明や、大雨で店仕舞いをすることになりその片付けを手伝う様子など、オリジナリティ溢れる細かい描写が物語の中でいきいきとしていて、ただの子供向けの絵本に留まらないリアリティのエッセンスになっています。
もちろんシリーズ通して、ピリッとスパイスの効いたミステリアスかつユーモラスなイラストも物語に深みを与えているのは言うまでもありません。
自分の今の立場が母親でなければもしかしたら号泣するというほどではなかったかもしれませんが、あまりに切なくて読んでいると今は本当に号泣してしまうので、まだ2歳の娘には読んでやっていませんが、人の痛みを知るということとそれに対する思いやりを非常に分かりやすく描いていて、子供に読んでやるのも断然自信を持ってお勧めする星五つです。