懐かしい、昭和の時代の日本のファンタジーという感じ。
初版が昭和53年ということからも裏づけられる。
同じく、今井弓子さんの「せっけん つるりん」も
似たような雰囲気を醸しだしていて、両者とも郷愁を覚える。
背景の家具や小物など、どことなく懐かしい感じ。
内容から外れたところにばかり目がいくようだが
勢いのあるタッチの水彩画もいい味を醸しだしている。
一見、決して丁寧に描かれた印象は受けないのだけど
サササッと描かれたように見えて、実は計算されているのだろう。
あめたろうが泣くシーンも、お父さんにカビが生えるシーンも
おばあちゃんの優しげな様子も雰囲気がしっかりと伝わってくる。
松田素子さんの作品に「おばあちゃんがいるといいのにな」
というのがある。あめたろうでも、両親は「汚い子」「うるさい子」
と外見だけで あめたろうを疎ましがるシーンが出てくるが、
おばあちゃんは違う。温かく、あめたろうの泥を洗い流してくれる。
また、お風呂場であめたろうを洗っている、おばあちゃんの表情が
なんとも優しくて温かくてホッとする。癒される。
やっぱり、おばあちゃんがいてくれる生活って、いいなあ。。。(憧)