内田麟太郎さんというと『さかさまライオン』や「おれたちともだち」シリーズの絵本の作者として思い浮かびますが、内田さんは若いころ、「絵か詩のどちらかをやっていきたい」と思われていたそうです。
私はこの絵本に、詩人である内田麟太郎さんを感じました。胸にしみる言葉の数々・・。そして画家である味戸ケイコさんが、詩人の言葉、想いをしっかり受け止めて、素晴らしい絵を描かれた・・そんな風に感じました。くまくんの悲しそうな表情、しぐさ、思いつめたようなお母さんの表情、そして、これから少しずつ良いことがありそうに感じられる春の野原のほのかな明るさ、穏やかさも心にしみます。
あまりにも切なくて、子どもたちみんなに、この本を読もうとは思いません。
ただ、この絵本を必要とする子ども(大人も)には、「確実に」手渡したいと、そう思う絵本です。