まさにこの夏(2014年)、マイケル・モーパーゴの名作「戦火の馬」のミュージカルが日本で公開されます。
2012年にはスピルバーグがディズニーの実写映画として発表しているので、記憶に新しい人もいるかもしれません。
本書はそのマイケル・モーパーゴの、わりと最近(2013年)日本で邦訳された作品で、今回の2014年夏の課題図書の小学校高学年の部の作品として選ばれています。
日本人にはあまり知られていない戦いですが、
第二次世界大戦時、ドイツが誇る「ビスマルク号」とイギリス海軍の戦いで、ビスマルク号がイギリス軍の魚雷に倒れ撃沈、ビスマルク号に乗っていた乗組員の何人かは救助され、イギリス軍の捕虜となっていた時期があったのだそうです。
この『時をつなぐ…』は、その時捕虜になった2人の若者と農場一家との友情を描いた事実を基にした作品で、
本物の「リトル・マンフレート(この物語に登場する犬のおもちゃ)」は実際、「帝国戦争博物館」に展示されているのだそうです。
こんな風に言葉で説明すると、難しい物語のように思えてしまうかもしれませんが、
本文中では的確に必要最低限の説明でのみその戦争の歴史は解説されていて、
物語主流は犬のマンフリートの飼い主の子どもたちと、過去イギリス軍の捕虜であった中高年のおじさんとの会話が中心になっています。
「戦火の馬」など、この作者の作品をいくつか読んでみて感じたことは、彼の物語の紡ぎ方はとても柔らかく、そこに起こっている出来事をまるで見てきたことのように文字している気がします。
読んでいると描かれている内容が文字ではなくとても鮮やかな映像で感じるんです。
これって、子どもたちにはお薦めしやすい物語ですよ〜。
特に聞いたことのない歴史などだと、その時代背景など読み取るのが難しく思うこともありますが、
彼の作品は意外なほどすんなりと、その時代背景にいざなってくれるので、ちょっとでも興味のある方にはお薦めです!!
正直、わたしは読んでいて泣きました(;O;)