日本には四季折々の行事とか風習があって、時代がどんなに変わって、それは大事にしたいと思います。
日本の絵本はそんな文化を大切に守ってくれているところがあって、子どもたちにもわかりやすく描かれているのがうれしい。
この『おふくさん』という絵本もそんな一冊です。
山の奥深くにこの絵本の主人公おふくさんたちが「みんな ふくふく まいにち にこにこ」しながら暮らしています。
ここには十人のおふくさんが住んでいるのです。
それぞれの名前と性格が表紙裏に描かれています。お習字が得意なむつきさんとかお世話が好きなうづきさんとか本が大好きふみちゃんといった具合に。ちなみに彼女たちの名前は月の旧名がつけられているのですが、おふくさんたちは十人ですから、二つだけつけられていない月があることになります。絵本で探してみて下さい。
そんな平和な家にある日、怖い赤鬼がおふくさんたちをこわがらせにやってきました。
でも、大丈夫。
おふくさんたちは「おにさん どうすりゃ わらうかな?」なんて考えてしまうくらいですから。
きせかえごっこや豆大福のごちそうで、赤鬼を笑わせようとしますが、反対に怒ってしまいます。
そこで、全員が集まって、ひそひそ打ち合わせをして、にらめっこ対決をすることに決めました。
まずは、おふくさんたち。「ぷ!」とほっぺを膨らませます。
赤鬼もまけじと「ぷ!?」。
おふくさんたちは、さらに「ぷー!」。
ページいっぱいに描かれたおふくさんたちの変顔。ここがこの絵本の読みどころです。
きっと、子どもたちはこのあたりでゲラゲラ笑い転げるのじゃないかな。
さあ、おふくさんたちは赤鬼とのにらめっこ対決に勝てるでしょうか。
この絵本の最後に、「笑う門には福来たる」という言葉について作者の服部美法さんのコメントがついています。
「つらいとき、かなしいときは、みえない おにが」やってくるのだとか。そんな時こそ思いっきり笑おうって。
こんな楽しいおふくさんたちはきっと私たちの心の中に住んでいるのではないでしょうか。