「春はあけぼの。」
有名な清少納言の『枕草紙』の書き出しです。古典で習いました。
続く「やうやう白くなりゆく、」あたりまで覚えている人もいると思います。
一方、こちらは漢詩。
「春眠暁を覚えず」、孟浩然の作。漢文の授業で習いました。
清少納言は早起きで、孟浩然は気持ちよくてなかなか起きられなかったようです。
いずれにしても、春は気持ちのいいものです。
ブタが空に浮かんでいても、ネコが浮かんでいても、カエルもタヌキも、クマだって浮かんでいても、ちっともおかしくない。
だって、春ですもの。
内田麟太郎さん作のこの絵本には、春の気分が満載です。
なんといっても、村上康成さんの、ほんわかした絵がいい。
ページを開くだけで、春がこぼれてきそう。
早起きしようが、いつまでも起きられなくても、町に出てみると、誰でも空に浮かびそう。
でも、どうしてみんな空に浮かぶことができたのでしょう。
その答えを、こいのぼりが教えてくれました。
はるかぜをおなかいっぱい吸い込むのだとか。
「だれだって もらえる はるの ごほうびです。」
外出もままならない、コロナ禍の時代。
せめて絵本をひろげて、はるかぜをいっぱい吸い込んで、空に浮かんでみたいもの。
誰でももらえるごほうびなのですから。