占いをしたり、まじないで病を治したり、イタコは盲目のおばあさん。
年老いて占いもままならず、やることにかげりが出てきて、自分自身も失敗で寝込んでしまったおばあさん。
床に伏せっているところに食べ物をあさりに来たきつねと奇妙な同居を始めます。
きつねの奇妙なじょうるりは病を治すじょうるり。
お互いに助け合い、おばあさんは仕事に出ます。
成功の果ての哀しみ。
きつねのおこんがおばあさんの身代わりとなって悪人の棍棒をうけるところ、おばあさんが必死できつねにじょうるりを聞かせるところ、笑顔で息絶えるところ、感動的です。
それからおばあさん他のきつねたちにじょうるりをきかせてくらすところは、映画のエンディングシーンのようで哀愁たっぷり。
切ないお話が、井上洋介さんの情感たっぷりの絵でとても効果的に語られています。
少しどろどろした感じのする絵ですが、何度も見直しているうちにとても納得。
この絵だから良いのだと理解しました。
井上洋介さんは、どちらかというとナンセンス絵本の作家のように思われていますが、画家として描く絵は情念の世界にどっぷりと引き込んでくれます。