ピーター・シスは、1996年「星の使者」、1999年「Tibet: Through the Red Box」(未訳)、2008年「かべー鉄のカーテンのむこうに育って」と3作品でコールデコット賞オナー賞を受賞しています。
主人公のマドレンカは、ニューヨーク在住。
その家を、上からも下からも描写するのが斬新。
そのマドレンカは、歯がぐらぐらするのに気がついたところ。
みんなにしらせなきゃと、マドレンカはアパートの階段を駆けおります。
歯がぐらぐらするって、やはり嬉しいもので、みんなにその嬉しさを伝えたいと思うのは万国共通なのでしょう。
それからお店を回るのですが、それが人種のるつぼのニューヨークらしく、世界各国の人に伝えることになるのです。
パン屋のフランス人のガストンさんの挨拶は、「ボンジュール」
新聞屋のインド人のシンさんの挨拶は「サット スリ アカール」
アイスクリーム屋のイタリア人のチャオさんの挨拶は、「ボン ジョールノ」
ドイツからきたグリムおばさんの挨拶は、「グーテン・ターク」
花屋のラテンアメリカから来たエドワードさんの挨拶は、「オラ」
アジアから来たカームおばさんの挨拶は、「タシデレ」
マドレンカを祝福する人たちの故郷は、世界中の国々。
みんなは、それぞれの国の言葉で挨拶して、歯が抜けることを喜んでくれるのですが、マドレンカは「これって、人生最高の日だわ!」って思うのです。
お店屋さんのシーンは、ページの真中に穴が空いていて、次のページを覗くことができます。
そして、ページをめくると、そには、その国の表す絵が一面に広がっているのです。
良く見ると、実に精緻なもの。
例えば、フランスのページでは、星の王子さまや長靴をはいた猫が描かれているくらいです。
ちょっと世界を巡るという部分は難解ですが、その雰囲気を感じるだけでも良いと思います。
世界には、いろんな人種や国があることを少しでも理解出来できたらしめたものではないでしょうか。
読み聞かせする際に、説明が必要かも知れません。