「ウルトラマン」のTV放映が始まったのは昭和41年(1966年)、私が11歳の時です。ちなみに本作の作者みやにしたつやさんは1956年生まれですから、ほとんど同世代にあたります。
TV放映が始まると全国のたくさんの子どもたちが熱狂しました。すぐに怪獣のことなら何でも知っている怪獣博士がクラスのなかに誕生します。いまでいう、怪獣オタクのようなものです。
当時はそんな怪獣博士がクラスの人気者でした。
「ウルトラマン」だけでなく、出現しては倒されていく怪獣たちの体重や身長、強力な武器などを諳んじて、同級生たちをびっくりさせてくれました。彼は時に詳しい怪獣の絵もかいてくれました。この本の表紙絵を見ながら、なつかしさがひたひたと心にしみてきました。
私たちはそういう世代です。
そんな私たちもおとなになって、結婚して、子どもが生まれます。そして、ふっと、「ウルトラマン」には子どもがいたのだろうかと想像します。
どんな怪獣にも無敵の「ウルトラマン」でも、「めちゃくちゃ よわい あいても いる」らしい。それが、こどもです。とっても強い「ウルトラマン」ですが、息子の描いた自分の似顔絵にしんみりしたり、怪獣をやっつけるのにキズがたえなくても「こどもの けがには めっぽう よわ」かったりします。
そんな自分によく似た「ウルトラマン」にしんみりします。
きっと怪獣博士だって、想像できなかったでしょう。
子どもが読むよりも先にお父さんが独りじめしたくなるような絵本です。
そして、読み終わったあと、きっと子どもにしているにちがいありません。
シュワッチ、って。