久しぶりに『マッチうりの少女』を読んで、なんとも切ないお話だと思いました。
マッチを売って、やっとの思いで生活している少女。
おばあさんが亡くなって、孤独な生活を送っているようです。
マッチを売った稼ぎで生活しているというところが切ないのです。
売るもののマッチで暖を取っている姿が切ないのです。
擦ったマッチが描く風景が、あまりにもフツウなのに、少女にとっては大変な憧れであるところが切ないのです。
マッチを擦りながら凍えて死んでしまった少女。
冬の悲劇としての出来事なのですが、少女が至福を感じながら死んでしまった子とが切ないのです。
少女にとって、この死は幸せだったのでしょうか。
人が死ぬことについて、幸せと考えようとする自分は、きれいごととして受け止めてしまっているのでしょうか。
いわさきちひろさんが大人の小説の挿絵を描いていて感じた違和感。
自分の描きたかったのは童画であること、特にアンデルセンの童話の絵を描きたかったこと、その中に『マッチうりの少女』が入っていたこと、さすがにいわさきさんが描きたかった絵であるだけに、いわさきさんの清楚で物悲しくて透明感のある絵が見事にマッチしています。