白いページが多いなかに、突然、黒いページが入ってきます。
まるで舞台の照明がおちたかのように。
会話にあわせて絵とテキストが交互に配置されたり、余裕をもってテキストがやわらかな雰囲気を醸し出しています。
とても工夫された絵本だと思います。
空間が多いせいでしょうか、
全体的に静けさにつつまれているようにも感じられますが、
その静けさの分、少女マーガレットの感情の動きがよく伝わってきます。
マーガレットが時計屋の主人にクリスマスのプレゼントとして贈ったクルミのおかげで、くるみ割り人形にふたたび命が吹き込まれたことをマーガレットは知ります。
それだけではなく、時計屋の主人がクルミを食べ、よろこんでくれたということもわかりました。誰にも喜んでくれないと渡していたプレゼントをよろこんでくれた人がいたのです。
マーガレットはやっと自分のプレゼントの価値を知ったのです。
他人にはつまらなく見えるプレゼントかもしれません。でもそれを楽しみに待っていてくれる人や動物たちの存在を知ったマーガレットが、どんなによろこんだか、この絵本を読んだ子どもはきっとわかってくれるでしょう。
自分の想いをわかってくれた人に出会えたマーガレットは、とてもしあわせな女の子だと思いますよ。