大胆に描かれた野太い絵は、どちらかといえば劇画調。
話も男性的な太さを感じる絵本です。
勇者として認められるためには、ライオンを倒さなければならない。
しかし、傷ついて倒れそうになっているライオンに追い打ちをかけて良いのか?
絵のないページで語られる、ヤクーバへのライオンの心が印象的です。
読み方を変えれば、少年ヤクーバの葛藤する心象風景でもあります。
ヤクーバは弱ったライオンを殺さずに帰ります。
ここに私は二つの意味を感じました。
ライオンに立ち向かわなかった少年の優しさと、弱ったライオンを放置したところは少年の意志の消極さ。
答えは次の巻に譲るとして、仲間からさげすまれ牛の番をするようになったヤクーバの姿を、勇気として受け入れるのには少し抵抗がありました。
村はライオンに襲われることがなくなりましたが、少年の勇気を認めてくれるのは読者しかなさそうです。
誰からも認められなくても、自分を通す強さ。
この絵本からはそんなメッセージも伝わってきます。