大好きなバージニア・リー・バートンのこの作品は、ずっと読みたいと思っていた作品です。
バージニア・リー・バートンの第1作は、1937年の「いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう」で、長男アーリスのために描いたもの。
「マイク・マリガンとスチーム・ショベル」は1939年作の第2作で、次男のマイケルのために描いたもの。
この背景を聞いただけで、身震いしてしまいます。
1作目はモノクロだったのですが、この作品は、カラーで「ちいさいおうち」を彷彿させる色づかいとなっています。
物語は、マイク・マリガンが、相棒のスチーム・ショベルのメアリ・アンをとても自慢に思っているというシーンから始まります。
ここに、「メアリは、100人の人間が1週間かかって掘るくらい、1日で掘ってしまうと、マイクは威張っていました」とあるのですが、これが最後までの伏線となっていて、その構成は巧みとしか言いようがありません。
次頁からは、マイクとメアリの大活躍の話が続くのですが、転機がやってきます。
時代の流れとともに、新式のガソリン・ショベル、電気ショベル、ディーゼル・ショベルが登場し、メアリの仕事がなくなってしまうのです。
時代の流れの描写は、バートンの真骨頂。
古きものが淘汰されていくのは、どうしようもないことなのか?と思わざるを得ず、一瞬寂しい気持ちになってしまいます。
それからのエンディングまでの話は、ワクワク感が一杯で一気に読まれることでしょう。
設定の妙と言ったら良いのか、実に素晴らしいハッピーエンド、それを導いたのが、小さな男の子というのも洒落ていて、非の打ち所のない作品です。
文章量は多いのですが、読み聞かせして、飽きる子供は殆どいないと断言できる絵本です。
こんなに素晴らしい作品を、お母さんから貰ったとしたら、子供はどんなに喜ぶのだろうかと思わずにいられません。
是非、読み聞かせして欲しい作品です。