1984年の作品にしてもなお懐かしさを感じるのは水野二郎さんの絵の印象でしょうか。
表紙の裏の前置きからさっそくストーリーは始まり、ぽんたお手製の自動販売機の様子を、折り込みページによって何だろうと期待したところへ、飛び出すような効果が効いていたりして、絵本の世界にとても入り込みやすいです。
また、お話し全体が善意に満ちていて、ぽんたも含めてすべての登場人物が幸せになるところは“これぞ絵本”という印象を持った一冊です。
僕は、大喜びするライオンのスキップのような仕草と、最後のオチというか、ウィットの効いた張り紙が好きですが、息子は、いつもぽんたを見守るように出てくるモグラや、遠くにいる次のお客さんを見つけては喜んでいました。もちろん、何でも願いを叶えてくれる自動販売機が欲しいと思ったことでしょう。
たぬきの魔法だからみんな解けてしまうのかなと思いきや、ぽんたとぽんこの友達関係は本物なんだと気づいて、なんだかほっこりとした気分で読み終えることができました。