いせひでこさんの絵はとても内面的であり精神的でありしかも象徴的。
絵がこれでもかこれでもかと少年の内面を訴え続けてくる。
絵本を読みながら涙が出てくるなんて。これでも男だぞ。
いせひでこさんの絵はとても意味深長なのです。
三本足の犬、母親と死別して一人ぼっちの少年の孤独、いじめらて不登校、犬との交感、虐待されて死の直前の犬を助けたことの宿命…。
これだけの題材を文章以上に饒舌に語り続けてくれます。
その少年が、うつむいているだけの自分が見下ろした水たまりに空を見つけました。
何かをおっことした。
そして犬との別離。
青年となった少年にとって犬とあの路は自分の原点。
なんど読んでも、少年が空を見つけて落っことしたものがよくわからない。
ただ、落っことしたことだけは納得させられて、それがこれ以上ないほど心通じ合わせた三本足の犬からの卒業。
それでも孤独感は引きずり続けるのかもしれないな。
何度読んでも、たまらなくなるのです。
子どもにはわからないだろうな。
自分にも三本足の犬がいたことを。
だけど、自分は自分の空を見据えてはいないようです。
この本は、心に食い込んでくることを覚悟して、心で思いっきり感じてください。