小人のおかげでお妃様にまでなった粉屋の娘でしたが、小人に恩をあだで返してしまいました。
ワッツの『金をつむぐこびと』と同時に2冊を読んだのですが、このお話にはガルドンの絵があっているように思いました。
そもそも「私の娘はわらを紡いで金に変える」などと王様に進言する粉屋もひどい父親なのですが、その話のために城に連れてこられた娘は可哀そう…、と思っていたら…。
ガルドンの描く娘は結構したたかです。
娘の目は何かたくらみのある目。
困っているところに現れた金を紡ぐ小人を利用してやろうなんて見えてしまいました。
娘が小人に首飾り、指輪を差し出した後、最後の代償は自分と王様の間に生まれる子ども。
子どもが生まれて本当に小人が子どもをもらいに来た時の目は何でしょう。
汚れたものでも見るような目です。(がルドンさん、ちょっとやりすぎかもしれません)
話は娘(最後までお妃様のような気がしないのです)が小人の名前を言い当てて、悔しさの中で小人は死んでしまいます。
小人が可哀そうすぎるお話です。
したたかな娘といい打算的な王様といい、良い人に描かれていないこの絵本。
この後、王様と娘は幸せに暮らしたのでしょうか。
「このあと二人はいつまでもしあわせにくらしました」なんてハッピー・エンドがグリム童話に多いような気がするのですが、余韻を残して終わってくれたのが良かったです。