マシュー・マケリゴットの2009年の作品。
彼の「ぼくはモンスターのとこやさん」を読んで、他の作品も読みたいと思っていたのですが、やはり期待通りの内容でした。
物語は、アリが、王さまライオンからの食事会の招待状を受け取るシーンから始まります。
毎年何匹かの動物を招くという設定で、時間通りに到着したのはアリだけで、他の動物達はみんな遅刻です。
参加する動物の面構えが、どうも悪人ぽいのですが、食事会が始まるとあながち間違いでないと思えてきます。
食事会のテーブルの絵と言ったら、こんなのあり?と言える位マナーが悪く無法地帯と化しています。
イボイノシシなんて、テーブルに飾られた花を食べていたりするので、あり得ない構図です。
王さまライオンと言えば、黙っているのですが、正に賢者という感じ。
食事が終わると、大きなケーキを出して
「自分の分を取って
隣にまわしなさい」
と言うのですが、最初のゾウは、半分を取ってしまいます。
次のカバもその半分を取ってしまい、皆が残りの半分を取ってしまうので、最後のアリは、256分の1。
半分に分けて王さまライオンにまわそうとしたのですが、余りに小さくて粉々になってしまうのです。
その行為に対する他の動物の辛辣な表情も、酷いもの。
恥ずかしくてたまらなくなったアリは、明日、イチゴケーキを焼いてきますと言うのです。
それを聞いた他の動物は、今度は、その2倍のケーキを焼いてきますと言うものだから、最後のゾウに至っては、256個のケーキを焼く羽目になってしまいます。
王さまライオンとアリ以外の動物が、あまりに動物然としているので、その行為が可笑しくてたまりません。
数の絵本として紹介されているように、数の概念が自然と分かる要素もあるので、実に内容の濃い作品だと思います。
どちらかと言うと、数についてはサイドストーリー的要素に過ぎず、ストーリーそのものの展開の面白さからオススメしたい作品です。