昆虫絵本の第一人者、得田之久が1970年頃に出版した昆虫絵本の新版。
5冊同時に発売となっているうちの1冊です。
あとがきに、2〜3年観察を続けてから、何とか1冊の本にまとめたとありますが、その努力が窺い知れる素晴らしい内容です。
かぶとむしのオスの一生を描いているのですが、とても精緻な絵にも関わらず昆虫特有のおどろおどろしさは全くないので、安心して見ることができる作品となっています。
成虫になるまでが一寸端折り過ぎという感がありますが、その分成虫になってからのシーンが多くなっているので、バランス的には好ましいと言えるでしょう。
かぶとむしを中心とした昆虫界の世界を垣間見ることができ、虫好きでなくても楽しめると思います。
また、ページの下には、例えば「脱皮」「羽化」等の言葉の説明書もあって、実に丁寧な作りで、科学書としても有益だと思います。
かぶとむしを飼う家庭も多いと思いますので、是非読み聞かせして欲しい作品です。