ヒド・ファン・ヘネヒテンは、ベルギーの絵本作家。
幼児・低学年向けの絵本を次々と執筆しており、世界的な人気絵本作家で、彼の本は世界30カ国以上で翻訳されているそうです。
彼の作品では、「ちいさいなしろいさかな」シリーズや「ずっとママといっしょがいいの」が、印象に残っています。
まず、表紙の絵。
ペンギンと熊がこっちを覗いているのですが、凄いインパクトのある絵で、これで惹き込まれてしまうはず。
主人公のヨアヒムは、ちょっぴり怖がり屋。
物語は、ヨアヒムが自分の部屋で一人でベッドで寝るシーンから始まります。
日本と異なり、1人寝の習慣が多い外国ならではの出だしです。
ベッドの下から
「ギッ…ギッ…ギシッ」
と音がするので、ヨアヒムは叫びます。
「パパ!ぼくのベッドの下に、おがけがいるよ!」
パパは直ぐに来てくれて、丹念にベッドの下を調べて、その原因を諭してくれます。
一旦それで終わるのですが、カーテンの陰、箪笥の中、おもちゃ箱の中、マットの下、ドアの外と、何度も呼ばれては、パパがしっかりと確認に来る繰り返しが続きます。
パパが、子供の言動にしっかりと向きあっていることが、最高に素敵です。
自分を振り返って、単に「あるはずがない」と言っていたので、これでは、子供がついて来ないのは、当たり前の話ですね。
だから、最後のヨアヒムの
「だって、パパが おばけを ぜーんぶ、おいはらってくれたんだ」
という親子の信頼に基づいた発言に繋がるのでしょう。
ストーりーも素敵ですし、親子の関係を考えるにも、うってつけの絵本です。
でも、この本の一番のオススメは、丁寧に描かれた絵。
その絵は、巧みにサイドストーリーを物語っているのです。
例えば、最初にパパを呼んだとき、
部屋にいるぬいぐるみ達も、パパの方に一斉に視線を向けています。
アンパンマンもいるのも、ご愛嬌。
そのぬいぐるみ達は、ページ毎に動いているのですが、これこそ、おばけとも言えそうな位です。
パパがドアを開けたら、勝手にオモチャのロボットは出て行ってしまうし、あり得ない構図が展開しているのです。
壁に貼ってあるおばけの絵も、いつも姿形を変化させているし、何でこんなに変化しているのに、パパは気付かないんだと、思うお子さんもいると思います。
何度読み返しても、新しい発見のある絵本で、3歳位からのお子さんにオススメします。
読み聞かせは、パパがすると最高だと思います。