扉に鍵束がありました。
扉を開けると、「こんにちは」と招き入れられました。
そして話しかけられたのです。
ピカドン。
ピカアアアアアッと光った瞬間に、大事なものを見失った多くの語り部たち。
ピカアアアアアッと光ってから、必死に頑張って生きようとしたけれど、持ち主を守りきれなかった語り部たち。
14人の語り部たちが、それぞれの思いを語りかけてくる。
本当に心に迫ってくる。
あの時から、大事なものを探し続けている。
14のドラマが展開されます。
14の語り部たちは、2万を超える迷い児たちの思いを代弁するように訴えてきます。
アメリカ人でありながら、第五福竜丸を見て自分たちの過ちを『ここがいえだ』で訴えたアーサー・ビナードさんが、今度は日本人以上に語り部になりきって、地の底から響いてくるような声で、語りかけてきます。
本当に、止まってしまった時は昔になりようがないのですね。
さりげない写真も、語りかけてくるように緊迫感に溢れています。
タイトルがすごい。
本当の意味で、語り部たちは失ったものを取り返すことはできないことはわかります。
でも、探し続けている彼らが安堵してさがすことを止められるように、自分たちもどうしたらいいか、一緒に探していかなければいけないと思います。