表紙のとても綺麗な絵に惹かれて読みました。
1988年のドイツの作品。
地面の下で冬ごもりをする5匹の虫の物語です。
最初から名前しかわからず、最後に1匹は、蛾だったことが分かるのですが、分からない虫もいるので、一寸残念。
その5匹は仲良しで、トランプをしたり、それぞれの家のごちそうを見せ合ったりするのです。
それぞれの家の描写が最高に綺麗です。
木の根っ子を上手く活用した部屋に、明かりを灯した空間は、実に精緻に描かれたもの。
子供の喜びそうな秘密基地と言った表現がピッタリでしょう。
しかも、あり等の脇役も充実していて、読むたびに新しい発見のある作品です。
食料と思っていた球根が大きく割れるという事件と、繭になった1匹が居なくなるという事件が起こり、4匹に動揺が走るのですが、最後は納得のエンディングでした。
久しぶりに精緻であるとともに、ウィットに富んだ絵本との出会いでした。
ページとページも間にも、繋がりを持たせているので、こんな仕掛けはたまりません。
ストーリーも、冒険のシーンもありそれなりには良いのですが、5匹の設定が不明確な点がとても勿体無いと思います。
子供に、この虫は何?と聞かれても答えられないのでは、やはり及第点とは言えません。
そんな物足りなさはあるものの、ワクワク感を持って読むことのできる絵本であることに違いはなく、是非読み聞かせをして欲しい作品です。