「すきですゴリラ」「どうぶつえん」で2度もケイト・グリーナウェイ賞を受賞しているアンソニー・ブラウンは、我家で人気の絵本作家の一人です。
人気の秘密は、その隠絵。
この作品も、じっと目を凝らしてみると、次から次へと隠絵が登場します。
朝起きたらパパが居ないくて、ママに聞いても何時帰ってくるのか分からないという寂しい朝食のシーンから始まります。
光と影、アンソニーの得意とするワンシーンです。
ぼくは、次の日おばあちゃんへの見舞いのケーキを届けるように頼まれます。
そして、行ってはいけないと言われた近道の森の中を通るのです。
森の中は、モノクロの世界。
ぼくだけがカラーで描かれています。
最初に出会うのは牛を連れた男の子。
これは、ジャックと豆の木。
絵には、豆の木と大男の足とこん棒が見え隠れしています。
次に出会うのは、金髪の女の子。
背景には、3匹のくまとくまの家が木の間に覗いています。
次は、焚き火にあたっている兄と妹。
これは、ヘンゼルとグレーテル。
遠くにお菓子の家、周りには斧、パンくずを食べてしまった鳥達がいます。
最後は、赤いコートが掛かっています。
これは、赤ずきんでしょうか?
オオカミが後ろで覗いています。
ぼくは、赤いコートを着て走り出すのですが、シンデレラ、眠れる森の美女、長靴を履いたネコを想像させるものが散りばめられていて、ペローへの敬意の表れなのかと思ってしまいました。
モノクロの森を抜けると、カラーの世界。
何と言っても、最後のページのママの笑顔が最高に素敵です。
モノクロの森は、ぼくの深層心理なのか、とても不思議な展開です。
昔話を読み込んだ位の年齢になると、きっと楽しめる作品だと思います。
アンソニー・ブラウンのファンには、たまらない一冊です。