アメリカで最も愛されている絵本作家のひとり。
アメリカ人の心を表現する絵と言われていて、クリスマスカードや感謝祭、ホワイトハウスのポスターに使われています。
「Mother Goose」「1 is One」でコールデコット賞オナー賞を2回受賞していますが、どちらも未訳のようです。
園芸家としても知られており、何と30万坪の土地に住み、そのスローライフは日本でも注目されていて、書籍も沢山あります。
この作品は、1966年の作品で1993年に邦訳されて、それが絶版し2000年に新装版として復刻されたもの。
物語は、農場に住む主人公のサリーが感じる1年間を綴ったものです。
いつも、目と耳と鼻と口と手で、季節の喜びを感じているのですが、子供たちにとって、こうしたことはどう映るのでしょうか?
家族で旅行して何もない田舎の道を通り過ぎるとき、妻は子供に必ずこう言います。
「こんな何もないところに育ったらどうだったかな?
ショッピングセンターもないし、ゲームだって手に入らないよ」
何でも揃うところに住んでいることが、本当に幸せなのか?この絵本を読み終えたときに考えさせられてしまいました。
ターシャ・チューダーが理想とする自然に囲まれた暮らしは、本来私達が渇望するものであって、決して簡単には手に入れられないものなのかも知れません。
決して派手な本ではありません。
けれど、その暖かな絵と相まって、心を落ち着かせてくれるそんな絵本だと思います。
子供たちが、この絵本を読んで、身の回りに起こる出来事に何かを感じてくれるようになってくれれば良いなと思っています。