戦場のサッカーと1914年に実際にあった最前線での自然発生的なクリスマス休戦。
フォアマンは別の作品でも取り上げていますが、とても象徴的な出来事だと思います。
今でもワールドカップには、戦争中の国も戦争を中断した参加するという逸話も生まれています。
この絵本は、戦場でこのクリスマス休戦を体験した兵士が妻に送った手紙がもたらすお話です。
手紙が古い机の引き出しから見つかったことから始まって、手紙の内容を読んだ発見者が手紙の受取者を探すところまで、テレビのスペシャル番組を見ているような展開で、私を引き込んでしまいました。
戦争で体験したクリスマス休戦。
ドイツ軍とイギリス軍で始まった戦場のサッカー。
別れてから、塹壕越しに取り交わした歌。
兵士は、お互いにごく普通の人間であること、平和を望んでいること、仲良くなれることを痛感し、まもなく戦争は終わるだろうと書いています。
それ以上兵士のことは書かれていないけれど、兵士が妻のもとに帰ってこなかったことが実感できます。
戦争は、平和を望むごく普通の若者を巻き込んでしまったのです。
クリスマス休戦の後の激しい戦闘が想像されます。
この手紙は妻にとっては宝物だったのでしょう。
年老いて101歳になったという妻のコニーは一人で施設の中にいました。
この手紙を届けられた彼女は、夫が帰ってきたように思ったに違いありません。
読んでいてジーンとしてしまったのですが、これに映像が重なったら号泣しているでしょう。
私にとっても世界で一番の贈りものでした。