1970年代後に、私は岩波のこどもの本を集めに集めました。第一巻の「ちびくろさんぼ」から3・4年向も含めると60冊以上あります。正直言うと、当時はまず集めることに心血を注いでいて、読むのはそのうちゆっくりで…といった状況でした。良く読んだのは10冊くらいで、この絵本もその中の1冊です。小学生の頃から読んでいたので、子どもながらダニーのおかあさんを思う健気さがいい!と思っていましたし、保育者だった故にこういう気持ちや行動を子どもたちにも知ってほしいと考えていたと思います。
今読むと確かに古くささは否めません。物質的に恵まれすぎているすぎている私たちには、今の時代に初めて読んだら、ふぅ〜ん、と思うだけかもしれません。
時々卒業生が勤務園の休みの日に母校を訪れ、授業を聴講していきます。私は授業に出るのは構わないけれど、後輩たちに必ずお土産を持ってくるようにお願いしてあります。それは保育現場の子どもたちの報告であったり、手遊びの披露であったり、絵本の紹介や読み聞かせであったりと様々です。ある男性保育者がよく読んでくれたのがこの絵本です。私は懐かしさで一杯でしたが、学生たちはむしろ心の琴線に触れた「いい絵本」として受け入れられたようです。
古いからこそいい!というものもあるはず。ダニーの物語として読んであげてほしいと思います。