イヌイットの人々は、雪を何十種類も見分ける文化があるそうです。極寒の地でもこどもを愛する心は、私たちと同じように温かく力強い。
こどもっていつでも「私のこと好き?」と確かめているようなところがありますよね。言葉にするしないは別として。この主人公の女の子は、考えられる限りの悪さをしても私が好きか?とお母さんに聞いていきます。
それに対して「くまの皮をかぶっていても、あなたはあなたなのだから、かあさんはあなたがすきよ」と答えるお母さんは力強くてとってもステキ。
イヌイットの人々のことをエスキモーという侮蔑的な表現をしていた時代がありました。作者はイヌイットの文化の素晴らしさを伝えたいという思いを持っておられるようです。それは見事にこの本に結実していると思います。訳の渡辺一枝さんは、長年保育をされて、諸外国を飛び回る作家生活になられただけあって、子ども心を知り尽くした日本語訳になっています。